薬に関する患者さんの困った行動、3つ!

こんにちは、くらげプロです。

診察をしていると、たまに薬に関してこだわりの強い患者さんに遭遇することがあります。

いずれも適切な治療ができなくて結局は患者さん自身が負担を負う可能性が出てくるため、気を付けなければいけません。あなたやご家族は当てはまりませんか??

大まかに分けて3タイプ取り上げます。

薬を使いたくない!

日本の医者は薬を出しすぎ患者さんは欲しがりすぎの傾向があります。

私(処方薬をなるべく減らしたい派)はそのように言われるとかえって(?)やる気が出て、「では、最低限○○にしましょう。これで数日たっても体調が上向きにならない場合は別に薬が必要と思われますので受診してください。」

とか

「食事をつくる奥さんに塩分を減らしてもらうようにお願いしてください。おやつは食べてませんか?」

などと条件を付けて希望に沿うように考えます。

しかし、イヤでも薬は使わないと治療できない、というときはあります。これは「なんで薬をイヤがるのか」という理由別で考えることが変わってきます。

「薬自体を信用してない、怖い」

今はネットで簡単に情報が出てきますので、多くの患者さんが自分の症状や薬のことを調べてます。そして副作用の怖い部分のみ読んで自己判断して止めてしまうことがあります。

しかしどの薬の添付文書にも副作用は必ず書いてあります。

例えば、漢方は副作用がないと思っている人もいるのですが、そのようなことはありません。

また、自己判断など不適切に薬を使用する場合には副作用の頻度は多くなります。

例えば、ステロイドという炎症を抑える類の薬はネットで検索すると副作用のことがとても多く書いてあり、使いたくないという患者さんがいます。しかし、適切に使用すれば副作用はかなり減らせますし、ステロイドに代わる薬はないと言っていいほど必要な薬です。(ステロイド使用に関してはまたいつか別にまとめる必要がありそうです)。

初見の外来で出す薬は副作用の頻度はかなり少なく、100人のうち1人もいないでしょう。こちらとしては必要性を根気強く説明するしかありません。

万が一、ひどい副作用が出た場合は救済制度がある

病院・診療所で処方された医薬品薬局などで購入した医薬品を適正に使用したにも関わらず発生した副作用による入院が必要な程度の重篤な疾病や傷害などの健康被害について救済給付を行う制度として「医薬品副作用被害救済制度」というのがあります。

給付には疾病に対する医療費、医療手当、障害に対する障害年金、障害児養育年金、死亡に対する遺族年金、遺族一時金、葬祭料の7種類があります。給付の請求は、副作用や感染などによって健康被害を受けた本人またはその遺族が直接、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構に対して行います。請求の場合は各種書類が必要となりますが、機構のホームページからダウンロードできます。

「一回飲むとずっと飲まなきゃいけなくなるでしょ?」

これは血圧などの生活習慣病の薬でよく言われます。

しかし、高血圧、糖尿病(2型)、脂質異常症などの3大生活習慣病はまさしく生活を変えることで、薬を減らしたり止めたりできます。事実、私の患者でも何人も止めている人がいます。一方、他の慢性疾患では薬を絶対に飲まないとダメな人もいます。

生活習慣病は生活全体を見直さないといけません。年齢が高いほど難しくなってきます。主には食事と運動なのですが、数十年という単位で根付いた習慣はなかなか変えられません。

「いただいたお菓子が余ってしまっていて。。。」という方は、お菓子を捨てるか、自分が糖尿病であると周囲の人に言ってお断りしないと延々と毎日お菓子を食べることになるでしょう。

500mの距離のコンビニに行くのに車を使う人は年をとって急に歩いてはくれません。

なんにせよ、若いうちから健康習慣を身につけとく方が良いです。しかし、なかには70歳になってから女性専用フィットネスのカーブスに通いだして、薬が一つ二つと減っていき、今では定期健診のみの受診になっている患者さんもいます。そのような方を診ると、私もがんばらないと、と昼食をラーメンから野菜炒めに変えたりします(笑)

「以前効かなかった」「ひどくなった」

以前がどういう状況で何の薬を飲んだか、それらを詳細に聞くことで医者にとって次の選択をする重要な情報になります。これは2でも述べますが、効かなかったというのは大きなヒントになります。もちろん最初から効くだろうと考えて処方しますが、そうじゃないこともあります。そうじゃなければこうする、という順序があるのです。ただ、よく聞くと症状は一緒のように見えても全然違うものということもあるので要注意です。

以上が「薬を使いたくない!」タイプですが、一番悲しいのは、薬不審となって怪しげなサプリや健康食品にはまってしまうことです。

薬を含めた医学というのは膨大な時間とお金がかけられて取捨選択された結果であり、効果だけではなく副作用もわかっているというのは大事なことです。研究すら大してされてない健康食品は悪質なものが混じっている可能性もあるわけです。

皆様、お気を付けください。

薬を勝手にやめる!適当に飲む!

医師としては一番困ります。もちろん重大な副作用や健康状態の悪化が出た場合はすぐにやめていただく方が良いのですが、その場合も電話一本、連絡してほしいです。

医師の診断とは、いろんな状況・条件下で推論を重ねた結論のことを言います。その推論の中には時間は大きな要素です。

「これを飲んでいるのに大して症状に変化がない」という情報は、その患者さんの中で起きていることを知る大きなヒントになります。

「体調が良くならないので。。。」

「3日前に出したお薬はちゃんと毎回飲んでましたか??」

「いえ、仕事が忙しくてあまり飲めてないです」

となると、今の体調悪いのが「薬を飲んだ三日後なのか飲んでない三日後なのか。」前提条件があやふやとなり推論が難しくなります。

血圧や糖尿などもなかなか安定しないという状況で薬が飲めてないと、「この薬だと効果が足りないのか、ちゃんと飲んでいないからなのか」判断できず、本来増やさなくてよかった薬の増量という結論になることがあります。

あと、いきなり中断すると反動で副作用が出る薬もありますし、しっかりと血液中の濃度を測りながら内服量を調整する必要がある薬もあります

いずれにせよ、医師の立場としては次の手が難しくなってしまうのです。

特定の薬を欲しい。診察はなしで薬だけ欲しい!

法律上、診察をしないで処方のみするということは原則できません(無診察処方禁止)。ただ、開業医は結構薬だけ出してるところ多いんですよね。それを希望されると困ります。

しかし、医者が勝手に無診察処方をしてるだけで、患者はそういうものだと思ってることもあります。こちらが普通に診察してて「血圧の薬もらうだけで、胸の音まで聞いてもらえて丁寧に診察してくれてありがとうございます。」とお礼を言われたり、「あそこの○○先生は診察してくれと言ってるのに診察してくれない。」なんてこともあったり。

また、特定の薬にこだわりが強い方もいらっしゃいます。プラシーボ効果(思い込み効果)というのもあるので、何らかの薬が必要で、こだわりがある程度妥当で、特に大きなマイナスなこと(本人や社会的に)がなければ希望に沿って処方します。

信頼関係がないと診察できません

薬を欲しがる患者さんでも、本当にその薬が必要ない場合はその旨を説明するのですが、怒り出す患者さんがいます。怒り出した患者さんにも丁寧に説明はしますが、最終的に私の言うことは一つです。

「自分の診察日以外に来るか、他の病院へどうぞ。」と。

病院はコンビニじゃありません。「これください」「はいどうぞ」じゃないんです。希望を言うのは自由ですが、それが正しいかどうか判断するために医学知識があるんです。そして、保険診療は全体を見ると4割税金、半分保険、つまり9割はみんなのお金から払われています。必要性のないものに処方するわけにはいきません。

一番の原因は医者!医者の説明不足が患者さんの医療・薬不審を招いている!!

上記の困る行動は本人の特性のこともありますが、医師の説明不足というのが一番の原因でしょう。

私は最初の処方時に

・それぞれどういう効果の薬か

・きっちり飲み切る必要があるのか、症状に合わせて抜かしてもいいのか

もしも、効きが悪かったら次の薬を考えていきますので症状を教えてください

・多めの頻度で出る副作用と対策(「眠気が出る人がいます。眠気が嫌な場合はこの薬を抜かしてください。」「3割くらいの人に下痢が出ます。出ても数日で落ちつきますので、水分こまめにとってください」など)

を言います。大抵の患者さんは納得してくれています。しかし、すべてのことを言うのは不可能です。看護師や薬剤師と連携して適切な情報を提供しないといけないですね。

まとめ

多くの医師は「じゃあ、お薬出しときますね~」で終わります。私もそういうこともあります。ただ、それで何かあった場合に患者さんは不安になって、処方された薬に対して何らかのこだわりがでてしまうのでしょう。医療者としてもわかりやすく説明する必要がありますが、患者さんからもわからないことは医師でも他のスタッフでもいいので聞いてみてくださいね。

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