医療業界にインセンティブ手当は根付くか?

こんにちは、くらげプロです。

みなさま、医師というのは高給取りと思われますか?

2017年度賃金構造基本統計調査によると、病院勤務医の平均年収は1,142.4万円とされています(各種手当、超過勤務含む)。平均なので、年齢や、大学病院などの公立病院か民間か、などで大きく変わります。

年収は1000万円を超える職業ということで、冒頭の質問は確かに高給取りと言えるでしょう。しかし、その激務や責任などから言うと、どうでしょうか?

同じく激務と言われて年収数千万と言われる外資系金融会社などから比べると、必ずしも高給とりではないとも言えます。

しかし完全実力社会と言われる外資系金融会社と違い、医師免許さえあればどんなボンクラでも年齢とともに年収が上がるという日本らしさ(?)もあります。

私はそんな日本らしさが医療崩壊の要因の一つと思ってますが、近年は労働に応じたインセンティブ収入が導入される動きがちょっとずつ出ています。今回はそんな医療業界の新たな流れについてのお話です。

医療業界のおかしな慣習

私が医療業界でおかしいと感じていることの一つに、『労力や責任に見合った収入になっていない』ということがあります。

夜間に緊急手術で呼び出される外科医や産婦人科・小児科など責任が重く多忙な医師と、17時に終わって帰宅する皮膚科や眼科などのマイナー科医師でほぼ給料が変わらないというのは、どう考えてもおかしいのですが、それがまかり通っているのが日本の医療界です。

もちろん、皮膚科や眼科でも命や重大な後遺症になる可能性もあり、患者さんの生活の質(Quality of Life)にも大きくかかわり、軽んじているわけではありません。特に大学病院は高度・先進医療をされててどの科もスペシャリストの集団です。しかし、そのような重大な疾患を扱う医師や病院に対して手厚くインセンティブを与えればよいわけで、そうではない病院や医師でも平等な給与体系なのは不満があります

日本は医療のお金(つまり病院の収入)は、国が診療報酬というかたちで全部決めています。つまり、国が恣意的に病院収入、ひいては医師への給与を操作できるということです。2年に一度診療報酬は改定されるのですが、科ごとの傾斜という話は既得権益を守ろうという動きによってできないのが現状です。

インセンティブ手当が導入されたらどうなった?

そんな各科横並びの給与体系では、多忙な科を志望する若手医師が減ってくるのも当然です。

かたちは様々ですが基本的には、アメリカやフランス、シンガポールなど先進各国では、病院に支払われるホスピタリティフィーと医師個人に支払われるドクターフィーと別れています。能力や成績に応じて各医師に支払われる額が違うのです。その是非はともかく、日本は全国一律の診療報酬という制度からドクターフィーの導入は無理だろうと言われていました。

そんななか、2006年に山形大学病院、2011年に佐賀大学病院でインセンティブ手当が導入されました。労力と収入の不均衡を是正する動きです

佐賀大学病院では、リスクを伴う手技や、緊急呼び出し、苦情処理、教育支援などの様々な項目にインセンティブ手当が支給されるようです。しかも術者である外科医だけではなく、麻酔科医や看護師、臨床工学士や事務方などのスタッフも含まれています。

結果として、年間1億~3億5000万円の支出増となるにもかかわらず、病院自体の収益改善、研修医の残留率の向上や看護師の離職率の激減につながったとのことです。

インセンティブ手当の成功のために必要なこと

佐賀大学病院のインセンティブ手当導入で特筆すべきこととしては、

① 医師だけではなく、看護師、医療安全担当者など医療スタッフにも支給される
② 病院収益に応じて手当の割合が増減する
ということでしょう。
 
①が特に大事で、医療はチームであり、医師だけが大変な状態ではなく、ちゃんとスタッフにも労力に応じた評価があることで、離職率の激減ということにつながったのでしょう。そしてそれは数字で出る以上に病院への利益につながります。
 
②は収支を明確に細かく分析、経営を健全化することを並行して行うことで手当の原資を確保しているとのこと。本来は国の診療報酬で差があってしかるべき(私はそう思ってます)ですが、そうではないので自分たちで手当をつけるしかないというのが、どうしても不十分さを感じます。
ただ、病院の収益に応じてインセンティブも上がるのはさらにやる気につながりますね。

まとめ

日本の医療はまさに古き日本社会そのもので、年功序列の横並び主義が今だにあり、大変な科でもそうじゃなくても収入に差があまりありません。病院の中には、緊急の呼び出しやリスクに応じてインセンティブ手当を導入する病院が出てきて、しかも結果として離職率の低下にもつながっているようです。
労力と責任に応じて正当な評価をすることが、今後の医療を支える人材には必要でしょう。というか、それって当然のことと思うのですがね。
 

ブログランキング参加してます。

にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする