高齢者の運転事故に医師として思うこと

こんにちは、くらげプロです。

高齢者の自動車運転による死亡事故がまた起きてしまいました。近年、ドライバーの高齢化に伴い、同様の痛ましい事故が増えています。

国としても2017年に道路交通法が改正され、75歳以上のドライバーは免許更新時、また一定の違反時に「認知機能検査」と「高齢者講習」を受けることが義務付けされました。

しかしながら、対策としては不十分と言わざるを得ません。特に認知機能検査などの免許更新の内容はもっと厳格にした方がよいのではないでしょうか。

今回は、高齢者ドライバーによる事故や免許更新・返納について、医師としての考えを述べます。

高齢者ドライバーの事故は実際多いのか?

昨年のドライバーの年齢層別に免許保有者10万人当たり交通事故件数を調べた結果を見てみます(警視庁調べ)。「10万人当たりの」とすることで、その年齢層毎の危険度がわかります。

10~20代が多くの事故を起こしており、年齢とともに事故は減っていくものの65歳以上から徐々に事故件数が増えているのがわかります。

一方、死亡事故については、75歳未満の平均が3.7件だったのに対し、75~79歳は5.7件で約1.5倍、80~84歳は9.2件と約2.5倍。85歳以上は14.6件で、4倍近くに達したとのことです。

事故の数からいえば10~20代が多いものの、高齢者ドライバーは死亡事故という重大な事故につながることが多いということですね。

高齢者の免許更新はどうなっているのか?

こちらも警視庁のHPより転載

肝心の認知機能検査の内容は、

・時間の見当識

検査時の年月日、曜日及び時間を回答する。

・手がかり再生

16種類の絵を記憶し、何が描かれていたかを回答する。ヒント付。

・時計描画

時計の文字盤を描き、指定された時刻を表す針を描く。

この三つの試験を点数化して合計100点満点で判断します。49点未満が「記憶力・判断力が低くなっている」、49点以上76点未満が「記憶力・判断力が少し低くなっている」、76点以上が「問題なし」となります。

49点未満の人で免許更新するには、認知症の専門医による「認知症ではない」という診断書が必要とされます。

こんな簡単なことで判断力を測っているというのも驚きですし、これで運転ができるというのもどうなのかと疑問です。

医師任せなのはいかがなものか

私はクリニックで外来をしているのですが、80歳以上でも自分で自動車を運転して来ている患者さんは結構います。危うそうな人は「もう運転は止めといたほうがいいですよ」ということもあります。ただ、なかなか運転を止めようとはしないですね。

私自身は認知症の専門医ではないので免許更新の診断書を求められることはありませんが、運転を止めたがらない高齢者に認知症の診断書を出すと、結局医者が「免許を取り上げた」との感情が出てしまうことは否めないでしょう。その後の医師-患者関係に影響を及ぼすことも考えられます。

もう一度、認知機能検査がどういう検査かを見ていただきたいのですが、こんな簡単なことにも答えられず「記憶力・判断力が低くなっている」とされたのなら、認知症の診断があろうがなかろうが、即免許取り消しにしなさいよ!って思いません??

そもそも、車の運転が18歳以上というのは法律で決まってますが、明確な理由はありません。あえて言うなら「判断力が未熟なため」でしょう。16歳でも判断力が優秀な人はたくさんいるでしょうが、ダメなもんはダメとされているのです。

ならば、年齢に関係なく、記憶力・判断力が低下しているとされてしまった人は、免許取り消しにすべきでしょう

それを、運転ができないと生活ができないとか、生きがいがとか、それはもちろん解決すべき問題ですが、別の問題であることをはっきりしましょう。

そうじゃないと、万が一の事故で亡くなられる方は納得しないのではないでしょうか。

まとめ

高齢者ドライバーによる事故は若者より死亡事故など重大なことが多く、75歳以上の免許更新では認知機能検査が必須となりました。しかし、簡単な検査で運転の可否を測るというのは疑問です。

また、判断力が低下しているという人には医師の認知症かどうかの診断が必要で、そもそも論として、判断力が低下しているなら免許取り消しというのが当たり前でしょう。それを医師に委ねないでいただきたい。

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