旅行前の準備 2:海外へは自分の医療情報を持っていこう

こんにちは、くらげプロです。

私は日本旅行医学会の認定医ということで、旅行に関する相談を自費診療でやっております。といっても、旅行医学会のHPに載っているだけで、全く宣伝してないのでごくたまに来る程度なのですが。

みなさん、旅行医学というのはあまりなじみがないと思いますが、実際に医者からも何やってんのかと聞かれることがあります。

それでも、最近はLCCで安く海外に行けることや、元気な中高年が多いということもあってか、海外渡航における健康に関する相談が少しずつ増えています。

以前、旅行前の準備について記事を書きました。

海外で安全・健康に過ごすためにはどのような事前準備が必要か。旅行医学会認定医が、まずは正しい情報を入手するためにどうすればよいか教えます!

今回は、旅行前の準備2として、「自分の医療情報を持っていくことの大事さ」についてお話しします。

自分の持病や薬のことを説明できますか?

「海外に行くのに病気や薬の医療情報を持っていく必要がありますか?」

昨日、外来に来た患者さんの相談ですが、よくある質問です。

⇒ はい、ちゃんと準備して渡航する必要があります。

海外でもし何かあった場合の海外医療保険に入るかどうか考える人は多いのに、なぜ自分の医療情報を説明できる準備をしないのでしょう?

やはり、海外に旅行する人も中高年者が増えて、当然、何らかの病気で薬を飲んでいる人も多いんですね。それにもかかわらず、ちゃんと医療情報を準備している人がまだまだ少ない印象です。

医療情報を説明できないと非常に困ることがある

やはり、海外で何らかの体調不良で病院に行ったときに、持病や常用薬の事前情報があるとないとでは、治療の初動が全然違います。これは医者ならみなさんわかるでしょう。

医師は治療する際、今まで他院でされている治療や薬をまず知りたいのです。

それを自分で最低限英語でできるのかどうか。もし全く意識がなければ話すことすらできません。

冒頭の患者さんにこのように説明しますと、

「じゃぁ、私の病気が英語でなんて言うか書いてもらっていいですか?」

とメモしてほしいと言われました。

いやいや、疾患名だけならネットで調べて自分でメモってください。

医療の証明書はちゃんとした様式が必要

英語の医療情報提供書は既定の様式というのはないので、何でも良いと言えば確かにそうなのですが、最低限の形式というのがあります。

「To whom it may concern 」などの英語での決まり文句もありますが、必要な内容は以下。

日付、患者名、疾患、処方薬、治療経過、あれば気をつけること

これらをA4用紙一枚分に記載しますが、大事なのは

・医師の名前、そしてその下あたりに自筆で署名すること。

・病院の名前、住所、連絡先

上記を英語で記載し、連絡先は+81からの電話番号とEmail addressを載せます。

最近は少なくなりましたが、日本の情報提供書で汚い字でなんて書いてあるかわからないようなのがいまだにありますが、汚くて読めないなんてのは論外です。そもそも全部自筆で書くなんてしないんですね。

Wordでよいので文書ソフトで作成し、署名だけ自筆でします。

英文の診療情報提供書は料金がいくらか設定されていない病院もありますが、およそ10,000円くらいでしょうか。

このように、形式がないとはいえ、ある程度の様式で書かれた医療情報提供書があることが、何かあった場合の備えになります。

証明書がないことで思わぬトラブルになることも

日本に比べると、世界では麻薬に関してはかなり厳罰です。

ですので、がん患者さんとかで医療用麻薬を使っている人は必ず証明書は必要です。

逆に言えば、しっかり症状のコントロールができていれば、医療用麻薬を使うような緩和ケアをしている患者さんでも、海外旅行には行けますよ。

麻薬ではなくても、あらゆる薬に関して、証明書を持っておく方が安心です。

それは、もし、「この薬が何か?」と問われたときに説明できますか?ということです。

薬の量や種類によっては、怪しまれると検査のために数十分~数時間、別室で待たされる事態も考えられます。

もちろん、それで嫌疑が晴れたら解放されますが、ツアーならあなた一人のために数十人待たされることもあり得るのです。

睡眠薬は持ち込み禁止の場合もあるため注意!

アメリカでは向精神薬と呼ばれる種類の薬は規制が厳しいです。

例えば、デパス(エチゾラム)という薬は、日本では良く出されますが、一定量しかダメですし、一定量以下でも証明書は必須ではないですが、医師の証明書があるのが望ましいとされています。

また、サイレース(フルニトラゼパム)も日本では内科でも出されていることが多い薬ですが、アメリカは持ち込み禁止とされています。

このように、日本で普通に処方されているからといっても、海外では普通ではないためトラブルになることもあります。

余計なトラブルを減らす意味でも、自分の医療情報を証明する書類を持つ意義があります。

若い人でも医療情報を持っていく方が良い

医療情報というのは持病だけに限らず、アレルギーやワクチン接種履歴など、いろいろあるので、若い人にとっても重要です。

日本旅行医学会では、『自己記入式安全カルテ』というものがあって、自分の健康情報をまとめることができます。

英語で指差し手帳のようにも使えますし、これがあれば、病気・ケガなどの緊急時に現地の医療者に見せることで、最低限の情報を相手に与えることができます。

よく海外旅行保険やツアー会社と提携している日本語が通じるクリニックなどがありますが、それがあるから安心というわけではありません。

日本語が通じるクリニックは当然少なく、遠い場合があります。全く科の違う医師かもしれません。手続きなど煩雑なことが必要で時間がかかることもあります。

提携している日本語が通じるクリニックに固執するあまり、手遅れになるという不幸な事例があります。緊急の時は現地の救急車を呼ぶのが一番なんです。

言葉が通じなくて不安だと思いますが、大丈夫です。どの国でも救急対応をしてくれる相手はプロですから。

でも、可能な限り情報は多い方が良いので、『自己記入式安全カルテ』を持っていくほうが安心です。

まとめ

近年、海外へ旅行する人が増えてるからこそ、困ることも多くなってきています。

自分の医療情報についてしっかりとした証明書を準備するほうが安心ですし、無用なトラブルにあうことも減らせると思います。

旅行医学はますます必要になってくると思いますね。

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